しかし、キリストに属するこの新しい神聖な性質は、古い性質と共に信者のうちに存在する。「私ではなく、キリストが私のうちに生きておられるのである」と言うことができたこの同じパウロが、「私のうちには(つまり、私の肉の中には)何の善も宿っていないことを私は知っているからである」(ローマ七・十八)、「私は善を行うことを望んでいるのに、悪が私と共にあるという法則を私は見いだした」(ローマ七・二十一)とも述べている。完全で実直なヨブも、「私は自分を忌み嫌う」を言った。輝かしい神の人であるダニエルですら、輝かしい昔の時代を見た時、「私の美点は私の内で腐敗に変わった」と言った。

 この二つの性質の間で戦いがなされている。この二つの「私」――ローマ七・十四~二十五の古いサウロと新しいパウロ――の間の戦いについて、注意深く学べ。このような経験に、若い回心者たちは大いに落胆して困惑している。回心の最初の喜びは弱まり、輝く期待は冷めてしまう。そして、昔ながらの習慣や欲求を持つ肉が回心前と同じように自分の内にあることを見いだして、回心者は落胆し、自分が神に受け入れられていることを疑うようになってしまう。これは落胆と危機の時である。この危機に陥ったパウロは、自分の古い性質を「罪の体」と呼び、解放を求めて叫ぶ。(彼は回心した人であったが)律法は彼の苦悩を強めるだけである。そして彼は見いだす。「肉」からの解放は努力によるのではなく、律法を守ろうと努めることによるのでもなく、「私たちの主であるイエス・キリストによる」(ローマ七・二十四~二十五)ことを。

 しかし、肉があるからといって、肉によって生きる言い訳にはならない。「私たちの古い人はキリストと共に十字架につけられた」と私たちは教わっている。これが意味するのは、私たちは「死んでいる」ということ、そして、自分の地上の肢体を抑制する(「死に渡す」)ことによって、これを恒常的な経験とするよう私たちは求められているということである。

 そのための力は、信者各人の内に住んでおられる聖霊である(一コリント六・十九)。聖霊の祝福に満ちた職務は肉を抑制することである。「ですから私は言う。御霊によって歩きなさい。そうすれば、肉の欲を満たすことは決してない。なぜなら、肉の欲するところは御霊に反し、また御霊の欲するところは肉に反するからである。これらのものは互いに相さからい、その結果、あなたたちはしようと思うことをすることができないのである」(ガラテヤ五・十六~十七)。

 「なぜなら、肉にしたがって生きるなら、あなたたちは死ぬからである。しかし、御霊によって体の行いを抑制するなら、あなたたちは生きる」(ローマ八・十三)。それゆえ、古い性質の要求に意志の力や良い決意によって対応するかわりに、この戦いを内住の神の御霊に委ねよ。

 ローマ七章は、再生された人の古い自己との戦いの記録であり、それゆえ極めて個人的である。「私が望む」ことを「私は行わず」、「私が望まない」ことを「私は行う」。これは敗北の悲しい告白であり、多くのクリスチャンがこれに共感するであろう。八章でもこの戦いは続いているが、さいわいなことにもはや個人的な経験ではない!もはや苦悩はない。パウロは苦悩を脱したからである。この戦いは今や、「肉の」タルソのサウロと聖霊との間の戦いである。パウロは平安であり、勝利している。(これは肉に対する勝利、すなわち、情欲、高慢、怒り等の内なる促しに対する勝利である、と理解することができる。外側からの誘惑は、私たちの大祭司であるキリストに頼ることによって対処することができる。)

 以下の御言葉をよく考えよ。「私たちはこのことを知っている。私たちの古い人が十字架に付けられたのは、罪の肉が滅んで(無に帰して、無力にされて)、私たちがもはや罪に仕えることがないためである」(ローマ六・六)。

 「御霊によって神を礼拝し、キリスト・イエスにあって喜び、肉を頼みとしない私たちこそ、割礼の者だからである」(ピリピ三・三)。

 「なぜなら、あなたたちは死んでおり(キリストにあって死んだのであり)、あなたたちの命はキリストと共に神の中に隠されているからである」(コロサイ三・三)。

 「同じようにあなたたちも、私たちの主であるイエス・キリストにより、自分は罪に対して死んでおり、神に対して生きていると見なしなさい」(ローマ六・十一)。

 「しかし、主イエス・キリストを着なさい。肉の欲を満たす用意をしてはならない」(ローマ十三・十四)。

 「それゆえ、兄弟たちよ、私たちは負債を負っているが、肉に対して負債を負っているのではなく、肉に従って生きるよう負債を負っているのでもない」(ローマ八・十二)。


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