しかし、どのようにキリストはわれわれに対する聖別となられたのか?キリスト御自身が「彼らのために私は自分自身を聖別します。それは、彼らもまた真理を通して聖別されるためです」(ヨハ一七・一九)と宣言しておられる。あるいは、聖別を可能にするために、キリストは御自身を聖別されるのである。キリストはここでわれわれの前に、御自身の聖別の漸進的な面を示しておられる。すでに彼は御父によって聖別されていた。「父が聖別された者のことを、あなたたちはどう言うのか」等(ヨハ一〇・三六)。しかし彼がいま述べておられるのは、御父の御旨に対する御自身の個人的献身のことであって、これによって御自分を信じる者たちの聖別が確保されるのである。

 御自身との生ける合一の中にもたらされるべき人々の中で続いて展開・発達させたいものを、キリストはまず御自身の中で実現される。彼らの聖さは、彼御自身の中で成就されつつあった聖さと、本質的に同じでなければならない。

 ここで次の点を心に留めることが重要である。「聖別することは、清めることと同義ではない。自分自身を清めることは、その人が汚れていることを意味する。自分自身を聖別することは、魂と体の天然的な能力を、それらが生じたら直ちに献げることに他ならない」(ゴデット)。

 最初から絶対的に聖なる者だった御方が、われわれの聖さとなって下さった。最初から絶対的に完全だった御方が、完成された者になられた。キリストは、試練と苦難を通して、われわれの中で後にそうなることを願うものに自らなられた。つまり、聖別となられたのである。キリストを信じる者たちの聖さは、彼御自身の内住の結果・所産であるべきである。

 それゆえ、こう記されている。「彼は受けた苦しみによって従順を学ばれました」(ヘブ五・八)。これが意味するのは不従順から従順への移行ではなく、現実の人間生活の諸々の試練や苦難に関して、彼御自身のパースンと経験において、神への全き献身の原則が発達したということである。これによって彼はわれわれの救いの君となったのである。「彼は完成されたので、永遠の救いの源となられました」(ヘブ五・九)。イエスが「救いの指揮官」として歴史的に「完成」されたのは、そのパースンにおいてであり、次のような方法によってである。すなわち、人の試練と苦難の道を実際にくぐり抜けることによってだったのである(付録の注記Eを見よ)。

 彼は信仰の全領域を横断された。はしごの最も低い段から最も高い段まで登られた。全行程を通り抜けられた。彼は信仰の指揮者であり完成者である(ヘブ一二・二)。彼は信者全員に先立って行かれた。彼は信仰の人生の王者的指導者である。彼は信仰の真の理想を成就するために来られた。彼はそれを教訓によって教え、たとえ話によって描写し、奇跡によってそれを奨励しただけでなく、御自身の生活でその模範を示されたのである。

 彼は完全な信仰を示す者となられた。試練がなければ、信仰を示すことはできない。試練が臨まなければならない。「あなたたちの知っている通り、信仰が試されることによって、忍耐が生み出されます。そして忍耐を完全に働かせなさい。それは、あなたたちが欠けたものの何もない、完全な、出来上がった人となるためです」(ヤコ一・三~四)。

 それゆえ、模範・見本であるキリストが「救いの源」ともなられたのは、外側の源としてだけでなく、内住の命としてでもあったのである――この内住の命はわれわれの個人的造り変えの活力源である。そして彼は「御自分に従う」全ての人に対して、この内住の命となって下さる。彼御自身が目標に達したからこそ、彼は彼らの聖別の源・起源となって下さるのである。


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