しかし、服従することは保留するのをやめることをも意味する。「わが子よ、あなたの心を私に与えよ」。言い換えると、霊と魂だけでなくあなたのすべての肉体の力をも、神に完全に所有してもらえ、ということである。すべての肢体を神に明け渡せ。「人の本質的状態は三つの同心円からなる。内側の最も深い部分である霊、内なる魂、外なる体である」(デリチェ)。もしこれを認めるなら、神への実際的献身がどのように進むのかがわかる。服従することは、何も保留しないことである。生かされた霊は魂だけでなく体をも主にささげる。「ですから、兄弟たちよ、あなたたちに懇願します。(中略)あなたたちの体をささげなさい」。思いと体のすべての力を主の奉仕にささげて、主の守りに委ねるのである。

 「この節(ロマ一二・一)は内なる人のことを祭司と見なしている。この祭司は祭壇の上に死んだ羊の体ではなく、自分自身の生きた体を置く。(中略)われわれの体は今や、ユダヤ人の考えによると、青銅の祭壇の上に置かれた動物に関連する聖なるものである。(中略)神にささげることにより、いけにえの動物と同じように、われわれの体は聖となる(出二九・三七)。これ以降、体はただ神の御旨を成し遂げるためだけに存在する」(ビート)。

 さらにまた、服従することはもがくのをやめることをも意味する。もはや自分自身を維持しようとはしない――沈まないように精力的に努めようとはしない――むしろ、われわれを倒れないように守ることのできる御方にすべてを委ねるのである。

 しかしこの服従は、反対もあるかもしれないが、確かに一度きりの行為ではない。この行為がどれほど明確で真実なものだったとしても、これは絶えず繰り返す必要があるのだろうか?仮に後退してしまった場合――自分自身をささげておきながら、後でこの贈り物を反故にしてしまった場合――われわれの答は、もちろん、繰り返しが必要である、というものである。しかしこれは確かに、われわれが召されている生活ではない。自分自身、霊、魂、体を彼にささげた以上、われわれが今なすべきは、日毎にこの行為を承認・確認することである。こうして、かつて決定的に成し遂げられたこの行為は、常に維持された姿勢となるのである。

 ある有能な注解者(デイビッド・ブラウン博士)がこの献身の行為について述べていることは興味深い。「ここで(ロマ六・一三)一つの時制から別の時制へと、意義深い移行がなされていることがわかる。最初の節『あなたたちの肢体を不義の道具としてささげてはなりません』では現在時制が使われており(paristanete)、これは人々の昔の習慣的行いを表わしている。次の節『しかし自分自身を神にささげなさい』ではアオリストであり(paristesate)、これは自分を明け渡す一度きりの行為を示唆している。この明け渡しを、更新された信者は、死から命に移るとき直ちに実行する。そして、この行為を信者はその後の全生涯にわたって絶えず承認し続けるだけでよいのである」(「批判的・経験的注解」。付録の注記Dを見よ)。

 しかし、この重要な注釈に対しては、次のような問いをするだけで十分である。「ローマのこのクリスチャンたちは回心のとき直ちに自分自身を神に明け渡した、ともし使徒が確信していたなら、どうして今、この明確な献身を彼らに対してこれほど熱心に勧める必要がある、と彼は思ったのだろうか?」。実際には、このクリスチャンの回心者たちはみな、神に対する実際的献身の状態の中を本当に歩んでいる、と使徒は見なしていなかったし、それを当然のこととも思っていなかったのである。


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