意志のための自由。ある思慮深い説教者は次のように述べている。「弱々しい人間的行動の原因を辿って行くと、感情が支配的であることに行き着く――感情があまりにも強すぎて、意志を押し流してしまうため、人の中にある統制力としての意志が損なわれてしまうのである」(カノン・ボイド・カーペンターの「ハルス講義」)。

 人の意志は、生来、自由ではない。それは恐れや欲望の虜である。もしその情熱が悪いものなら、その人の意志は罪深い暴君の犠牲になる。自由なき光や知識もありうる。人はたとえ善を理解して悟ったとしても、苦しみや非難に対する恐れのゆえに、それを行うことから尻込みするかもしれない。これは束縛されている状態である。人はたとえ悪を理解して、それを避けることが自分の義務であることを悟ったとしても、多かれ少なかれその中に含まれている悦楽のために、それに惹きつけられて屈服するかもしれない。このような状態からの自由はどのように実現されるのか?

 意志が強められて、高尚な義務感により、自分の熱情の力に打ち勝てるようになったと仮定しよう。そのような人は真の自由の実例であろうか?確かにそうではない。

 ある有能で活発な著者はこう述べている。「われわれは意志を用いることで、自分に何らかの行動をさせることができる。しかしこれは、進んでそのような行動をすることとは、まったく異なる」(カノン・モズリーの「大学説教集」)。意志にまず必要なのは、強められることではなく、解放されることである。意志はまず、その適切な環境の中にもたらされなければならない。そこで意志は自由を見出す。それは弱いかもしれないが、意志の自由は決して些細な事柄ではない――そして自由にされたら、今こそ意志は強められることに備えなければならない。

 その中で意志が自由を見出す要素は、神の愛である。

 自由に関する一般的定義――すなわち、「自分の好きなことをすること」――は、結局のところ、真理から遠くない。栄化された霊は自由であり、自分の好きなように振る舞う。しかし、その願望が聖いので、神が好まれることを行う。だから、人の愛情が清められて、神が喜ばれることを喜ぶようになるにつれて、その人はますます、自分の好きなことを行うことの中に自由を見出すようになる。それゆえ、人の願望を清めるものは何であれ、人の意志を解放するのである。意志を自由にするには、意志は神の愛の雰囲気の中にもたらされなければならない。精神が真理である御方の中にその自由を見出し、良心がわれわれの平安である御方の中に自由を見出すように、意志は完全な愛の化身である御方の中に自由を見出す。

 「精神の最も高度で完全な道徳的状態は、良い行いをした時に喜ぶだけでなく、良い行いをすることを喜びとしている状態である。われわれは確かに、好むと好まざるとに関わらず、良い行いをしなければならない。そして、良心のために従わなければならない。渋々行ったとしても、それはまったく称賛に値する。そうするよう聖書は常にわれわれを促している。しかしそれは、善の側を好む性向と比べたら、依然として劣った道徳的状態である。というのは、この問題の真の性質を見るとき、そのような状態は奴隷状態であると言わざるをえないからである。愛着がその働きに伴っておらず、軛である義務に服しているにすぎない。その義務は上位の力や律法がその人に課したものだが、本来その律法はその人自身の良心を通して示されるべきものなのである」(モズリーの「大学説教集」)。

 それゆえ、経験の二つの段階がある。両方ともクリスチャン生活の中に含まれている―― 一方は主に善の感覚によって、他方は愛の力によって生かされる。この二つの段階を二つの同心円で描写することができる――外側の円は義務の生活、内側の円は愛の生活を表わす。われわれは第一の円の中にいたとしても、第二の円の中にはいないかもしれない。しかし内側の円の中にいるなら、外側の円の中にいないことはありえない。同じように、もし「愛の中に住んでいる」なら、善を行うことがどういうことか、われわれは善自身のためだけではなく自分の性向からも分かるのである。この二つの状態のどちらが真に自由な生活なのかを見分けるのは難しくない。

 「次の真実を認めなければならない。外見上、御霊の経綸に属している多くの人は、依然として内的に律法の下にある。それは、彼らは神の奉仕をまだ進んでしたがらない、という意味においてである。また、たとえ彼らが自分の義務をある程度行ったとしても、それは律法に従っているにすぎない、という意味においてである。罰に対する正しい適切な恐れからそうしているのであって、霊的な愛の原則に基づいているわけではないのである」(モズリー「大学説教集」)。

 ゆえに、信仰がすべてを可能にする一方で、すべてを容易にするのは愛なのである。


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