もう一つの節は「しかし、わたしたちはキリストの思いを持っています」(一コリ二・一六)である。使徒は福音や啓示された諸々の真理のことを、神の知恵、御霊の事柄として述べている。これらの事柄は神の霊から離れては知りえない、と使徒は宣言する。しかし次に、彼は読者に次のことを思い出させる。すなわち、彼らは神の霊を受けたのであり、それは彼らがこれらの事柄を知ることができるようになるためである。天然の人、あるいは再生されていない人は、これらの事柄を理解できない。「キリストの思い」を持つことは、霊的な思いを持つことである。

 しかし、再生された人でも非霊的になる可能性がある。「天然の人」だけでなく信者ですら、「キリストの思い」を持たないおそれがある。コリントのクリスチャンたちは「肉的」――ただの「赤子」――になってしまい、もはや霊的に識別することができない(一コリ三・一。付録の注記B参照)と使徒は宣言したが、信者もそうなるおそれがある。

 「キリストの思い」は、すべての霊的知覚、すべての神を知る知識の成長のために欠かせない条件である。聖書の中でわれわれに啓示されている「測り知れないキリストの富」を理解する鍵がここにある。この心の状態を持たなくなる時、われわれは霊的知性を持たなくなるか、神の教えを受け入れなくなる。

 日毎の導きという問題にも、これと同じことがあてはまる。人生の絶え間ない出来事の中で神の御旨を素早く理解するには「キリストの思い」が必要である。

 「自分の義務だと信じていることに関して、ほとんど瞬間的な即断を下すことが必要になる時が、われわれの人生の旅路の中には無数にある。その分かれ道では、おそらく、友人の所に行く余裕や、真理に関する神託を聞きに行く余裕はほとんどないかもしれないし、自分自身の胸中の問題を熟慮する余裕すらないかもしれない。そのような時、正しいことを瞬時に知覚する能力は無上の賜物である。

 さて、聖なる事柄に親しんでいる人々は、徐々に、いかなる主題についても何が神の思いや御旨であるのかが分かるようになる。これは驚くべきことである。それは第二の霊的感覚の一種である。その過程を説明することはほとんどできないが、それがもたらす結論は概ね正しいものであり、外面的検討や熟慮よりも遥かに良いことがしばしばである。(中略)最初の考えの方が二番目の考えよりも良い。なぜなら、最初の考えでは人からのものがより少なく、御霊からのものがより多いからである。

 その最初の考えがこのように信頼に足る人々とは誰か?この人々は愛と知恵の泉である御方と絶え間なく長きにわたって交わってきたことにより、この御方の観点から物事を見、この御方の基準によってそれを評価し、この御方の愛情を感じるようになったのである。そのため、彼らは『私たちはキリストの思いを持っています』と言えるのである」(ブライトンのジェームズ・ボーハン師)。

 だから、霊的な思いを持てるようになるには、再生――新しい性質の伝達――が必要であると主張する一方で、新創造となった人でもこの世的な状態の中に落ち込むおそれがあることを忘れないようにしようではないか。「肉的な思い」を持つ者になるかもしれないのである。未再生の人にはなりえないが、堕落するかもしれない。御霊の事柄を思うのをやめて、肉的な事柄を思っているのかもしれない(ロマ八・五~六)。キリスト・イエスにある新創造となっている人々とはまるで無関係であるかのように、ローマ八章のこれらの節を読むことがないようにしようではないか。これらの節が指し示している心と思いの状態は、悲しいことに、神の子供たちの多くが頻繁に陥るものなのである。その結果は何か?霊の自由と力をすっかり失ってしまうことである。自分の存在中の法則に従うとき、自由を見出す。神の性質にあずかる者として、もし自由でありたいなら、われわれは神の性質にふさわしい状態に絶えずとどまらなければならない。

 「キリストの思い」はこのように、誘惑の力に対するわれわれの盾となる。


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