「それゆえ、今やキリスト・イエスにある者、肉にしたがってではなく御霊にしたがって歩く者は罪に定められることはありません。なぜなら、キリスト・イエスにある命の御霊の法則が、罪と死の法則から私を解放したからです」(ロマ八・一~二)。

「わたしから離れては、あなたたちは何もすることができません」(ヨハ五・五)。

「私は、私を強めて下さるキリストを通して(キリストにあって)何でもすることができます」(ピリ四・一三)。
「キリスト・イエスにある恵みの中で強くなりなさい」(二テモ二・一)。


 「罪に定められることがない」という特権の完全な意義を理解するには、「キリスト・イエスにある」という句の意味を知らなければならない。「キリストにある」という句は、ほとんど聖パウロに特有の句である。この句は彼の手紙の中だけでも約七十八回現れる。しかし、その胚芽は「私の中に住んでいなさい。そうすれば私もあたたちの中に住みます」(ヨハ一五・四)という主の御言葉の中に見出される。

 様々な節を注意深く調べると、「キリストにある」という句で表現されている真理には二つの異なる面があることがわかる――義認を示す面と、聖化を示す面である。われわれは一方を他方から区別しようとする一方で、両者を分離しようとはしない。「キリストにある」立場と「キリストにある」歩み・経験と言えるものがある。前者は頭首権と関係があり、後者は交わりと関係がある。

 頭首権について。われわれは各々、二つの立場のうちの一つを占めている――アダムかキリストである。神の取り扱いは二人の人と関係している――最初のアダムと最後のアダムである。われわれは人類を、多くの人がしているように、砂からなる一つの山のように個々人に分けてはならない。むしろ、一本の木のように、一つの有機的なまとまりである。無数の部分から成っているが、一つの全体を形成しているのである。だから、アダムの中に、人の全ての家族の総計をわれわれは見る。そしてエデンの園で、彼にあって、全人類が試みに会うのをわれわれは見る。

 アダムの試練は人を試験することだった。それは一個人の試練ではなく、全人類の試練だった。すべての人が彼の中に含まれていた。彼の堕落は家族全体の堕落だった。「一人の人を通して罪が世に入り、罪を通して死が入りました。こうして死がすべての人に及びました。すべての人が罪を犯したからです」。[「すべての人が罪を犯した」(アオリスト)というのは、アダムにあってである。試練に関する見方としては、救いに関係するものとして見る見方と、奉仕に関係するものとして見る見方がある。救いに関係する試練は、もはやわれわれ自身の働きの問題ではない。この意味では、われわれの試練はアダムの失敗と共に終わった。しかし、奉仕に関する試練は依然として進行中である。そして、われわれは使徒が記している次の言葉を、この意味に理解しなければならない。「他の人に宣べ伝えておきながら、自分は捨てられる(あるいは、拒絶される 改定訳)ことが決してないためです」――(一コリ九・二七)――失格したり拒絶されたりするのは、つまり、奉仕に関してである。]

 そこで試練は終わったのである。厳密に言うと、堕落で人の試験は終わったのである(ロマ五・一二)。

 福音が臨むのはそのような者に対してである。試練の決着がついていない者、試験の途中にある者、依然として試練を受けている者に対してではない。この立場に基づく機会が永遠になくなった者――それゆえ、「失われた」者に対してである。


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