エペソ人への手紙の中で、聖パウロは多くの罪を挙げているが、それらはみな後天的習慣という見出しの下に含めることができる(エペソ四・二五~三二)。偽り、盗み、悪い話、苦々しさ、激怒、怒り、騒ぎ、罵り、悪意。これらのものはみな取り除かれるべきものである――従わせたり抑え込んだりされるべきものではなく、全く取り除かれるべきものである――信者がそれ以上関わってはならないものとして、そして実際にそれから分離されなければならないものとして、取り除かれるべきものである。それゆえ、これらの罪をすべて「取り除きなさい」――すなわち、人が服を脱ぐように――脱ぐことである。それらの罪に屈しようとする欲望そのものが取り除かれなければならない。

 使徒ペテロは、聖潔の特権と義務を読者に印象付ける際、読者を直ちにキリストの十字架にもたらす。これが彼の論拠である。「私が聖なる者であるから、あなたたちも聖なる者になりなさい。(中略)あなたたちがよく知っているように、あなたたちが先祖伝来の空しい生活様式から贖われたのは、銀や金のような朽ちるものによったのではなく、傷も染みもない小羊のようなキリストの尊い血によったのです」(一ペテロ一・一六、一八~一九)。

 それゆえ、われわれはキリストの死の恩恵の一つとして、われわれの過去の生活の悪しき力からの完全かつ瞬時の解放を要求することができる。キリストが死なれたのは、心と体の全ての悪い習慣からわれわれを贖うためである――すべての間違った不正直な行動路線から――すべての空しい不真実な行動路線から――すべての卑しい不純な動機から贖うためである。罪を完全に根絶することは可能である、という考えを抱く人々が、時々次のような問いを発してきた。「どうやって罪と聖潔が同じ心の中に同居できるというのでしょう?どうやって人は病気であると同時に健康でもあることができるというのでしょう?完全に健康な時、人は病から解放されているのではないでしょうか?キリストが癒しの御手を置くことによって『健康』にされた魂については、病としての罪は完全に取り除かれた、と言えるのではないでしょうか?」。

 それゆえ、この推論によると、すべての罪――違反としての罪だけではなく原理としての罪も――魂がその真の特権に従って生活する時、根絶されるというのである。だから、「罪の法則」はもはや存在しない、とそれは言う。悪への傾向性自体がなくなるというのである。

 もちろん、クリスチャンでも罪を犯す可能性があることについて、疑問に思う人はいない。当初の罪のない無垢な状態にあったアダムですら、罪を犯す可能性からは自由ではなかった。しかし、今生で罪に対するすべての傾向性から解放されることができる、と考えているように思われる人もいる。「心の清さ」の祝福は、清さが維持されている状態というよりは、むしろ清い状況である、と主張しているように思われる人もいる。この区別は重要である。

 一つの例によって、これを明らかにすることができるだろう。自然にはありえないことを仮定してみよう。すなわち、暗い部屋の中に火の灯った燭台を通らせたら、この一つの行為によって、部屋が直ちに明るくなるだけでなく、明るい状態が継続する効果が生じたと仮定してみよう。もしこのようなことが可能だったなら、その部屋は、最初自分の中に光の状態をもたらしてくれた燭台に借りがあるものの、光のためにその火の灯った燭台に居続けてもらわなくても済んだだろう。

 このようなことは、キリストがわれわれに授けて下さる清めの性質ではない、とわれわれは主張する。

 この同じ例を用いて――しかし、無理なことは仮定しないが――暗闇は罪を、光は聖さを表わすとしてみよう。暗い部屋に対する火の灯った燭台の関係は、信者の心に対するキリストの関係と同じである。

 キリスト御自身の内住の臨在の光により、キリストはわれわれの意識の領域外に罪を締め出して下さる。このようにもたらされて実現された清めは、状況ではなく、維持されている状態であって、キリスト御自身から離れて存在しえないものである。


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