人類に対する罪の影響を認識することと、神に対する反逆としてのその本質的性格を理解することとは、別の問題である。人は罪を通して「傷づき台無しに」なっただけでなく、神から遠ざかった。人は神に積極的に敵対する姿勢を取った。それゆえ、罪は憐みを誘うもの、つまり単なる不幸であるだけでなく、刑罰に値するものでもある。なぜなら、罪は神の純粋さ、善良さ、威光に対する反逆だからである。

 もし罪が不法でなければ、いけにえ無しに罪を赦す神の憐みについて思い描くこともできただろう。しかし、いけにえの必要性は、罪は神の律法を破ることであることを、われわれに教える。この必要性は旧約聖書の中に紛れもなく明確に示されており、新約聖書でも同じくらい強調されている。

 「罪は律法を破ることです」(一ヨハネ三・四)。われわれは律法という言葉を次のように理解しなければならない。「律法という言葉は旧約聖書のモーセ律法だけでなく、新約聖書のキリストにある律法をも意味する。キリストはそれを言葉で説明し、生活の中で示された。この律法は人の心の中に記されていて、人に特別な指示を与える。それは複雑な戒め全体を含む」(ピアソン)。

 神が御言葉の中で啓示されたことを人は内側で感じている――罪には神の憐み以上のものが必要なことを感じている。この点で、聖書の教理と人の心の証しとは一つである。

 咎には償い以上のものが必要であることを、人の本性は直感的に人に教える。しかし、人は放っておかれると、自分の考案した方法でこの償いをしようとする過ちに陥る。これがすべての異教のいけにえの歴史である。

 罪は不法である。なぜなら、罪は神の主権に対する反逆であり、神の性質に反するものであり、神の聖さに対する侮辱だからである。罪は律法と関係している――理性の律法、良心の律法、適切な律法だけでなく、神の律法とも関係している。罪を本質的に構成しているのは、神の御旨との一致の欠如である。律法はこれを啓示する。罪は不法――律法を破ることである。それゆえ、律法は罪の罪深さを啓示する。「歪んだ線の歪みは、それだけで分かるかもしれない。しかし、直線という完全な標準と比べると、それはいっそう明らかになる」。

 われわれの罪という咎には何らかの改善が必要なことを、良心はわれわれに告げる。他方、ただ啓示だけが、その改善をなしうる方法を示すことができる。そこにおいてのみ、どんないけにえが人間の咎を贖うのに十分なのかをわれわれは学ぶ。罪に対するこの見解は、十字架上のキリストの死の意味の理解へとわれわれを導く。それは有罪判決を受けた犯罪者の死だった。「彼は私たちの咎のために傷つけられ、私たちの不義のために砕かれた」(イザヤ五三・五)。彼は死なれた。「義しい方が、義しくない人のために死なれた」(一ペテロ三・一八)。

 違反としての、神に対する犯罪としての罪からの解放は、それゆえ、こういうことである――すなわち、キリストの贖いの死により、罪は「取り除かれ」、「まるで罪が無かったかのように」なることである。「地や天のいかなる力も、為されたことを為されなかったことにすることはできない。唯一想像可能なありえる例外は、まるで一度も為されなかったかのようになること、つまり、その悪い影響が全て除去・抹消されることであり、また、罪が償いによって無効化されることである」(モズレー)。犯罪としての罪からの解放にあずかることは、現在の特権である。それは、十字架上のキリストの死を見て救われることにより、われわれが経験する自由の第一の面である。


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