神の価値観

 ピリピ人へのパウロの手紙は、十字架に関する偉大な手紙ではないでしょうか?この手紙の二章はイザヤ書五十三章を最もよく補完するものです。この手紙のこの部分がどのように始まっているのか聞いて下さい。

 「そこで、あなたがたに、キリストによる励まし、愛の慰め、御霊の交わり、優しい慈しみと同情とが、いくらかでもあるなら、どうか同じ思いとなり、同じ愛の心を持ち、一つ心、一つ思いとなって、私の喜びを満たして下さい。何事も党派心や虚栄からするのではなく、へりくだった心で互いに人を自分より優れた者と見なしなさい」。

 何という要求でしょう!これは私たちの批判をすべて断ち切るものではないでしょうか?「批判すべきだ」と感じる人に対する批判ですら断ち切るものではないでしょうか?あの兄弟やこの姉妹には、何か華々しい欠点があるかもしれません――しかし、神だけかご存じなのです、私にはもっと悪い欠点があることを!

 「おのおの、人を自分より優れていると見なしなさい。おのおの、自分のことばかりでなく、他人のことも考えなさい。この思いを持ちなさい」――「思い」という言葉がどれだけ頻繁に使われているのかに注意して下さい――「この思いを持ちなさい。それはキリスト・イエスの中にもあったものです。この方は神のかたちでしたが、神と等しくあることを固守すべき事とは思わず、かえって、ご自分を空しくして奴隷のかたちをとり、人のすがたになられました。その有様は人と異ならず、自分を低くして、死に至るまで、実に十字架の死に至るまで従順になられたのです」。

 前に述べたように、これはイザヤ書五十三章の補足です。これにただちに続くのは、イザヤ書五十二章の終わりの部分の補足です(「私の僕はとても高くなる」)。

 「それゆえにまた、神は彼を高く上げて、あらゆる名にまさる名を彼にお与えになりました」。

 主の御腕が現される根拠は何でしょう?誰に現されるのでしょう?ピリピ人への手紙の二章に記されている人々に対してです。三章に行くと、人が誇りにしているもの、人が評価するもの、人が建てあげているものについての一覧表が見つかります。パウロの昔の人生がその好例でした。しかし当時、神は彼をご覧になっても、承認することも祝福することもなさらなかったのです。「私はこの人の傍らに立ちます」と神は言われませんでした。神は最初に彼に会った時、彼を塵の中に下らせ、彼を砕いて粉砕してしまわれました。そして、その後、神は彼を起き上がらせたのです。この原則は極めて明確です。神にとって最大の悪は高ぶりなのです!神にとって最大の徳は柔和さなのです!ですから、ここに記されていることは、イザヤ書のこの偉大な章に記されていることの確認に他なりません。誰に主の御腕は現されるのでしょう?この御方に対してであり、この御方のようである人々――「キリスト・イエスの内にあったこの思い」と同じ思いを持つ人々――に対してです。

 しかし、この主の僕について考える時、私たちの驚きはますます増して行きます。この御方は自分が何を経験し、どんな苦しみを受けるのか、そしてそれが意味することを、あらかじめご存じであり、喜んでこの道を取られたのです。それは私たちを高ぶり――高ぶりという不法――から私たちを贖うためでした。「不法」というこの言葉の語根はヘブル語では「強情」を意味します。主の僕が堕落の深淵にまで降りて行かれたのは、私たちをこの強情さ――これは実は心高ぶったサタンとの内なる同盟です――から解放するためだったのです!これにより私たちは高ぶりを正しく評価することができます。神の目から見て、人の誤った価値観だけでなく高ぶりがいかなるものなのかがわかります。これはまぎれもなく、自分を空しくすること、「自分の肉に信頼しないこと」(ピリピ三・三)、「神の目から見て大いに価値がある柔和で静かな霊」(一ペテロ三・四)の無限の価値を、私たちの目の前に開示します。

 ですから、自分たちに反対する主の御腕ではなく、自分たちに味方してくれる主の御腕を望むなら、また、主の御腕の保護、支え、力を、自分たちの交わり、集会、奉仕に望むなら――これがその土台です。これに反するものが少しでもあるなら、主の御腕が私たちのために現されることはありません。「自分の高ぶりをすべてさげすむ」覚悟が整って、「この世に対してまったく死ぬこと」――特に、自分自身の心の中にあるこの世に対してまったく死ぬこと――の意義を理解するようにならない限り、私たちは自分自身が造り出した泥の中で溺れ続け、神は私たちをそのまま放置されるでしょう。


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