主の僕

 これは私たちをこの問いの包括的内容全体に導きます。広い文脈を見るために、四十二章に戻ることにします。「私の支持するわが僕、私の魂の喜ぶわが選び人を見よ。私はわが霊を彼の上に置いた。彼は異邦人に公義をもたらす」云々。しかし、「わが僕を見よ」というこの句は、五十三章の文脈にも直ちに通じます。なぜなら、この句は五十二章十三節と、言わば共鳴しているからです。実際、五十二章十五節と五十三章一節との間には決して区切りがあるべきではありません。なぜなら、この区分全体は実際のところ十三節から始まっているからです、「見よ、わが僕は賢く事を行い、彼は高められ、上げられ、ひじょうに高くなる」。このようにして、私たちは主の僕について、主に対する奉仕の何たるかを、広い文脈の中でとらえることができます。すなわち、主がその正しさを証明して下さる奉仕とはいかなるものなのか、どのような僕の傍らに主は立って下さるのか、広い文脈の中でとらえることができるのです。きっと、あなたも私もこれに大いに関心があることでしょう。私たちは、主から「私が支持するわが僕を見よ」と言ってもらえる者になることを願っています。「私が支持する者」という句は、「私が大能の御腕を現す者」という言葉を言い換えた表現に他なりません。

 さて、「主の僕」というこの句を、イザヤは三重の方法で用いています。

 第一に(四十一・八、四十四・一、二、二十一参照)、彼はこの句をイスラエルについて用いています。イスラエルは「主の僕」と呼ばれています。イスラエルが興されたのは、諸国民の間で主の偉大な御旨に仕えるためでした。しかし、イスラエルは僕として主の期待を裏切ってしまいました。悲劇的なことに失敗してしまったのです。

 次に、イスラエルの中から、神はひとりの御方、メシヤ、油塗られた者を起こして、この御方に「主の僕」という称号を移されました。「私が支持するわが僕(中略)私はわが霊を彼の上に置く」……「見よ、わが僕(中略)彼は高められ、上げられ、ひじょうに高くなる」。これがこの称号が使われている二番目の方法です。これを辿るなら、とても有益な学びになります。なぜなら、イザヤ書五十二章から五十三章は、新着聖書で十二回以上引用されているからです。まさにこれらの御言葉が主イエスに適用されているのです。例えばマタイによる福音書(八・十七)にはこう記されています、「イザヤによって語られたことが成就するために」。次にマタイは主イエスに関してイザヤ書五十三章から引用します。「新約聖書全体はイザヤ書五十三章の中に含めることができ、主のパースンと働きは『主の僕』というこの称号の中に含めることができる」と言うこともできるでしょう。

 イザヤがこの「主の僕」という称号を用いている三番目の方法は、忠信な信者たちを示す集合的・複数的方法においてです。五十四章十七節(六十五章十三節、十四節とも比較せよ)で、「主の僕」というまさにこの称号が主の忠信な民に対して与えられています。ですから、これには「あなたや私もこの偉大な神の証明にあずかれる」という意味があるのです。

 しかし、ここで立ち止まって、根本的な区別をしなければなりません。この区別は主イエス特有の僕たる身分及び特有の働きと、他の人々に関するものとの間のことです。これを常に心に留めておかなければなりません。なぜなら、イザヤ書五十三章はキリスト特有の僕たる身分と、キリスト特有の働きについて示しており、他の何者もそれにあずかることは決してないからです。そして、神に感謝すべきことに、他の者がそれにあずかることなど不要なのです!彼はそれをすべてご自分で単独で成就されました。今はこれをさらに詳しく追うことはしません。しかし、確かに私たちは主イエスの贖いの働きにあずかることは決してありませんし、この勝利の奉仕にあずかることもありませんが、それにもかかわらず、私たちは奉仕の中に入りますし、その奉仕は主の奉仕と同じ霊的原則に基づくものなのです。これはとても重要です。なぜなら、これらの原則に基づいて主の御腕は現されるからです。


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