何という人だろう

 弟子たちと主はガリラヤ湖にいた。この湖は穏やかだったが、嵐が来たため大波になった。同じ湖、同じ湖水、そしておそらく――同じ日であった!ひどく恐れた弟子たちは、荒れ狂う嵐と激しい風によって恐怖に打たれた。あなたや私でも同じだっただろう。生活の光景はなんと速やかに変わりうることか!笑いが涙の中に呑み込まれ、幸いな心が悲しみの冷酷な手で絞め殺されるのに、長く時間はかからない。嵐と凪のこの出来事が起きたのは、弟子たちのためだけではない。その出来事を通してあなたや私の心に語りかけることを神が望まれたからでもある。

 とうとう弟子たちが眠っているキリストを起こした時、キリストは弟子たちに一つの質問をされた。あなたはそれをよく覚えているだろう!それは、「あなたたちの信仰はどこにあるのか?」という質問だった。信仰はどこにあったのか?渡っていた湖の底に落ちてしまったのか?嵐に乗って飛んでいってしまったのか?船に打ち寄せる水の霧になって雲散霧消してしまったのか?彼らの信仰である御方は、常に彼らとともにおられた。彼らの間違いは、嵐の現実は分かっていたものの、この御方が共におられる現実を忘れたことだった。彼らの信仰である御方は遠く離れてはいなかった。「私がいなければ、あなたたちは何もすることができません」というわれわれの主の御言葉を思い出せ。

 それから、イエスは舟のへさきの方に進んで行かれた。彼は嵐を見据えて、激しい嵐に向かって命じられた。波はそれに従い、風は吹くのをやめた。イエスが語られると、弟子たちは御力を前にして畏怖の念に打たれた。弟子たちの信仰はどこにあったのか?あなたは知らないのだろうか?わからないのだろうか?それはあなたや私のそばにあるのと同じように、彼らのそばにあったのである。なぜなら、私はあなたに断言したいのだが、嵐の現実は主が去ってしまったことを意味しないからである!欠乏はあなたが見捨てられた証拠ではない。それは奇跡へと導く扉かもしれない!「この人は何という人だろう、風も海もこの人に従うとは」。

 ペテロがこの船の中に立って、波に静まれと言うのを、あなたは想像できるだろうか?私にはできる――ただしそれは、海の主がその奇跡のための信仰を分与して、それが御旨にかなっている場合の話である。麗しの門のところにいた人を、崇高な霊的勇敢さにより、確信をもって癒したのはペテロだった。その人は癒され、ペテロとヨハネに従って宮の中に入り、道すがら神への賛美を叫んだ。「私が持っているものをあなたにあげよう」とペテロは言った。そして、自分がそれを持っていることを実証した。しかし、彼はそれをどこで得たのか?彼は上の部屋から出て来たばかりだった。この上の部屋の中に、麗しの門の傍での癒しの隠れた秘訣があったのである。

 神の分与の事実をペテロは大いに意識していたので、彼はこの癒しに続けて行った説教の大部分を、自分はいかに弱く、自分の救い主はいかに強いのかを述べることに費やした。癒したのは彼らではなく、彼らの力でもなかった。彼らの主だったのである。

 この真理は、信仰を心から思いに移そうとするわれわれの哀れな儚い試みとは、何と異なっていることか。信仰を、分与された恵みから冷たいものに、知的同意や信条に変えようとする試みとは、何と異なっていることか。魂の窓を通して天から差し込む光の中にではなく、意志という聖くない通路の中に信仰を探そうとする試みとは、何と異なっていることか。歩こうと悪戦苦闘している身体障害者と、それによって歩くための信仰を求めて祈っている身体障害者との間には、大きな違いがある。私の心は知っている。このような信仰が与えられるのは、魂が神の御前で待っている間であり、神の約束に信頼して安息する静かな麗しい態度を取っているときなのである。われわれの騒々しい悪戦苦闘という乱気流の中にあるときではない。私は言う、主を待ち望め。主の中に安息せよ!忍耐強く主を待て。そうすれば、主がそれをかなえて下さる。

 ガリラヤ湖の青い波よ、押し寄せよ!荒れ狂う風よ、うなりを上げて吹け。大嵐よ吹け!私の無力さと思しきものを、お前は笑っている。揺れる船の中に立とうとする私の努力を、お前は嘲っている。「お前の信仰はどこにある」とお前は私に尋ねている。私の状態を嘲っている。私の信仰である御方は遠く離れてはいない!しばらくの間、彼は眠っておられる。ご自身に信頼することを私に教えるためである。彼は眠っておられる。それは自分の力に信頼する代わりに、彼の約束と彼の臨在の力に信用するようになるためである。然り、私の信仰である御方は遠く離れてはおられない。私はこの御方を見て微笑む。なぜなら、その御声が私のこの哀れな心に囁いて、「暴風や嵐のさなかでも私は安息できるのですから、あなたも私にあって心地よく休めます」と私に告げているからである。


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