ある女性の物語

 癒しと祈りの必要を抱えて数年前集会に来た一人の女性のことを私はどれほどよく覚えていることか。彼女はとても気高い性格の持ち主のように思われた。彼女の家族は彼女を一心に心を込めて愛していた。ある晩のこと、われわれは彼女のために主イエスの御名の中で祈った。帰る時、彼女は幸せそうに思われた。「私は神の約束の上に立っています」と彼女は言った。しかし、彼女は癒されなかった。数日たって、彼女の娘の二人が私に会いに来た。そして、もう一度祈ることを私に乞うた。実のところ、彼女らは不安と絶望のせいでヒステリー気味だった。彼らは自分の母親を愛していた。そして、神が自分たちの唯一の希望であることを知っていた。母親にもう一度油を塗るよう、彼らは私に求めた。私はそうしたのである!

 この愛すべき人々が恵みの御座に押し寄せた時の嘆願、執拗さ、狂おしい叫びを、私は決して忘れないだろう。彼らは信じようと努力した。しかし、すべて徒労であるように思われた。われわれが「イエスはすべての枷を砕かれる」と歌った時、この哀れな病気の女性は目から涙を拭った。そして、われわれの祈りに対する明確な答えを受けずに、集会から去って行った。二日経った。彼女は集会の前に、事務所の玄関にやって来た。そこには別人の女性がいたのである!その顔はその魂の中の栄光の光で輝いていた。「あなたは癒されましたね」と私は言った。

 彼女は微笑んで答えた、「いいえ、まだです。しかし、私は今晩癒されるでしょう。私は公に祈ってきました。今晩の集会で、主は御力をもって私に触れることを願っておられる、と私は信じています。それは、主は信実であることをすべての人が見るようになるためです」。張り詰めた、緊張した雰囲気はなかった。もがきはなかった。むしろ、主にある甘く麗しい安息があった。それから彼女は自分の物語を私に話した。

 打ちのめされて――絶望しそうになりながら――彼女は家に帰った。もうお手上げであることを彼女は悟った。ベッドの傍らに跪いて祈った時、彼女はすすり泣いていた。「愛するイエスよ、私は信仰を持とうと懸命に努めてきましたが、私には無理です。私は失敗しました。愛する主よ、それでも私はあなたの約束とあなたの御言葉を信じています。プライス兄弟が試してくれましたが、だめでした。集会に参加していた人々も試してくれましたが、やはり駄目でした。私はどこに行けばいいのでしょう?何をすればいいのでしょう?私に語って下さい、主よ。私の唯一の希望はあなたです」。

 すると、若者の授業で教師として成功を収めているある女性に関する思いが彼女の心に浮かんだ。彼女の心の奥底で、この女性に対する敵対心が育ちつつあった。かつては若者たちの愛情は自分の上に注がれていたのに、その女性がこの若者たちの心を勝ち取ったからである。これは妬みだろうか?嫉妬だろうか?そうでないことを彼女は知っていた。しかし、月日が流れるにつれてこの感情が強まっていくのを、彼女は自覚していた。今や、彼女は自分のことを考えた。その時、彼女は自分の心の真の状態を見たのである。おそらく彼女は、「あなたたちが立って祈る時、赦してあげなさい」と主が言われるのを聞いたのだろう。

 その午後、彼女はその女性と一緒に一時間祈った。神は彼女の心の中に、その女性に対する深くて麗しいキリスト者の愛を与えられた。祈りの甘い一時!それは素晴らしい交わりの場である。この場でわれわれは神に語りかけ、その中で神はわれわれに語られるのである!その傷は癒された!妬みは溶け去り、イエスの愛が流れ込んできた。ようやく彼女が家に着いた時、彼女は夕食の席で家族に「私は今晩癒されます」と告げた。彼女にはそれが分かっていた。しかし、どうやって分かったのか、彼女には分からなかった。その意識は命そのものと同じくらい現実的だった。それについて疑いはなかった。何の執り成しもなかった。それは過去のものになった。苦悶や嘆願はなかった。それは成就したが、依然として成就していなかった!これが信仰のパラドックスである。それから彼女は私に、「兄弟、イエスが何をなさったか分かりますか?」と言った。

 「私の主はすべてを良きに計らって下さいます」が私の返答だった。

 「主は私にご自身の信仰を与えて下さったのです」と彼女は言った。「正直言って、いつそれを受けたのかは分かりません。しかし、御名を賛美します。それがここにあることを私は知っています」。

 確かにそうだった。その晩、天のそよ風が吹いた。その晩、癒し主であるキリストが、全能の力をもって、必要を抱えている御自分の子供の病んで弱っている体に触れて下さった。その晩、神聖な接触により、癌は消え去った。栄光の主ご自身によって一人の病気の女性に分け与えられた神の信仰によって、山が移ったのである。


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