エルシャッダイ

 ある夜、一つの声がアブラハムの心に語りかけた。彼はその声を知っていた。彼は弱々しく目を上げて、何年も前に自分に語りかけた御声の厳かな響きを、遠い耳で聞いた。その時、神は語られた。「私は全能の神である。私の前を歩んで、全き者であれ」。何という言葉だろう!私が聞いたところでは、多くのユダヤ人は「エルシャッダイ」というこの神の厳かな御名について述べることを拒んで、この語を「御名」と呼んでいるらしい。これは何を意味するのか?

 エルという言葉は「神」もしくは「強い御方」を意味する。アブラハムは弱かったかもしれないが、神は強かった。人々は周囲の力や生活の不当な力によって動揺するかもしれない。しかし、神は決して動揺しない。神は強い御方である。しかし、それはわれわれに対してどんな益があるのか?われわれがとても弱くて自分の弱さと惨めさの中に座り込んでいる時、神は強い、と仮定してみよ。シャドという言葉は「胸」を表すヘブル語である。旧約聖書全体を通して、この語は常に女性の胸を表すのに用いられている。それは、赤ん坊が自分に力を与える栄養を口で吸うところである。小さな子供が母親の腕に抱かれている光景ほど甘美な光景は地上にない。その赤ん坊の微笑みほど麗しい旋律はない。赤ん坊は母親の命の一部である。母親の命が赤ん坊に流れ込む。母親のありったけの力、愛、心遣い、顧みが、彼女の一部であるこの麗しい小さな存在の命と体の中に流れ込む。このように永遠の神は無限の真理を地上の言葉で包んで、それをアブラハムや、あなたや私に、贈り物として与えて下さったのである。

 神が言わんとされたのはこういうことだった。「私から引き出しなさい、アブラハムよ。私はあなたの力です。私はあなたの滋養です。私はエルすなわち強い者ですが、シャッダイすなわち養う者、命を与える者でもあります。よろめく必要はありません、アブラハムよ。あなたの信仰を動揺させる必要はありません。あなたの弱さのために、私の力の泉から引き出しなさい。赤ん坊が母親の胸から命の乳を引き出すように。不信仰のゆえにつまづく必要はありません、アブラハムよ。むしろ、私の前を歩んで、全き者でありなさい」。こう主は仰せられたのである。

 これが教訓である。神は供給源である、尽きない供給源である。われわれの必要をすべて満たすのに十分な供給源である。われわれの罪をすべて覆う恵みの供給源である。われわれの咎をすべて赦す愛の供給源であり、われわれを全く癒すのに十分な傷を持つ御方である。われわれのあらゆる弱さのための力の供給源である。これをわれわれは信じる。しかし、ここでわれわれは失敗してきたのである。神はそれを与えて下さる、と信じてはいるのだが、その受け取り方を学んでこなかったのである。母親は赤ん坊に乳を与えるが、その幼子はそれを受け取らなければならない。神の力と性質の注入は二つのことにかかっている。神は喜んで与えてくださるということをあなたが知ることと、その受け取り方をあなたが学ぶことにかかっているのである。種蒔きと刈り取りの季節が止むことがないように、また、昼と夜の交互の訪れを解消できないように、神はあなたのすべての必要を常に満たして下さる、というこの偉大な真理も止むことはなく、解消することもできない。ただしそれは、あなたに受け取る用意ができていればの話である。

 御名を賛美せよ、彼は依然としてエルシャッダイである!「神の性質にあずかる者」になるようにと、パウロはわれわれに勧めていないだろうか?神ご自身が、「私の恵みはあなたに対して十分である」と仰せられたのではなかったか?われわれの虚栄、悲惨な霊的高ぶり、忌むべき自己義認の背後には、神がおられる。神はわれわれを愛して、われわれのためにご自身を与えて下さった。神が望んでおられるのは、われわれが毎日毎瞬必要とするものを全て神から引き出す学課を学ぶことである。


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