ミュラーの物語

 キリストがすべてのすべてとならなければならなかった。そして御父の御心の愛は、彼はわれわれのすべての必要を満たせるだけでなく、そうすることを望んでいる、という事実に示されている。私はジョージ・ミュラーの生涯の物語をここのところ読んでいる。チャールズ・パーソンズ牧師はミュラーに関する一つの経験について次のように述べている。

 暖かい夏の日のこと、私はブリストルのアシュレイ・ヒルの日陰の木立を歩いて上っていた。その頂上で私は巨大な建物を見た。その建物は二千人以上の孤児を保護するものであり、一人の人によって建てられたものだった。その人は、世界がかつて見たことがないような極めて印象的な信仰の実物教育を、世界に与えてきた。

 一つ目の家は右側にあり、ここには、簡素で素朴な共同住宅の中に住んでいる彼自身の民の間で、聖人のような家長であるジョージ・ミュラーが住んでいる。この山荘の門を通って、私はしばしのあいだ立ち止まって、自分の前にある三号建屋を見た。この建屋は六〇〇、〇〇〇ドルで建てられた五つの建屋の一つにすぎない。

 呼び鈴に応えたのは一人の孤児だった。彼は私を導いて高い石の階段を上らせ、その尊敬すべき創立者の私室の一つに私を入らせた。ミュラー氏は九十歳という高齢に達していた。

 彼は心のこもった握手で私を迎え、「ようこそ」と述べてくれた。その人によって神が偉大な御業を成し遂げられた人に会って感無量だった。その声の響きを耳にするのは格別なことである。その霊との直接的接触に導かれて、その魂の暖かい息吹が自分自身の魂の中に吹き込まれるのを感じること以上に格別なことである。その時の交わりは、永遠に私の記憶に刻まれるだろう。

 「私はあなたの伝記を読みました、ミュラーさん。そして、時として、あなたの信仰がどれほど大きな試みにあったのかに気づきました。今も昔と同じようにそうでしょうか?」。ほとんどの時間、彼は前屈みの姿勢で床を見つめていた。しかし今、彼はまっすぐ座って、しばしのあいだ、私の魂を貫くような真摯さで私の顔を見つめた。その曇りのない両目は、壮大な気高い雰囲気を帯びており、霊的な諸々の幻を見て、神の深い事柄を見抜くことに慣れていた。この質問が浅ましいものだったのかどうか、私にはわからない。あるいは、この質問が古い自己の残滓に触れて、彼がこの会話の中でそれとなくそれに触れたのかどうかも、私にはわからない。いずれにせよ、少しの疑いもなく、この質問は彼の全存在を呼び覚ました。短い沈黙の後――その間、彼の顔は厳粛で、彼の澄んだ両目の奥で炎が閃いていた――彼は自分の上着のボタンを外して、そのポケットから古風な財布を取り出した。その財布の真ん中には輪がついていて、異なる種類の硬貨を分けていた。彼はそれを私の手の上に置いて言った、「私の全財産はこの財布の中にあります――このペニーがみなそうです!自分のために貯蓄することなど決してしません!私自身の用途のためにお金が私に送られてくる時でも、私はそれを神に渡します。こうして一、〇〇〇ポンドものお金を一度に送ってきました。しかし、私はこうした贈り物が自分のものだとは決して見なしません。それは神のものです。私はこの神のものであり、この神に私は仕えています。自分のために貯蓄する?そんなことはあえてしません。そんなことをすれば、私が愛する、恵み深い、恩寵豊かな御父を辱めることになるでしょう」。



オリーブ園クリスチャン古典ライブラリー 本館
オリーブ園クリスチャン古典ライブラリー 本館へ

コメント
トラックバック
トラックバックURL
コメントフォーム
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール
カレンダー
06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -
全記事表示リンク
検索フォーム
個人のブログに関するリンク集
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

電子書籍
Glorious Secret
ジェシー・ペン-ルイス
「栄光の奥義」


The Cross of Christ
アンドリュー・マーレー
「キリストの十字架」


ランキングサイト
にほんブログ村 哲学・思想ブログ キリスト教へ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 聖書・聖句へ

人気ブログランキングへ ブログランキング

ブログのまどランキングへ ブログ王へ

ブログランキング【くつろぐ】

QRコード
QR
カウンター

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ