私は信じているが、律法の下にある旧約の信仰と恵みの下にある新約の信仰との間には一つの違いがある。ヘブル人へのパウロの手紙で鍵となる言葉は「さらに優った」である。この並外れた手紙の五章に照らして見るとき、これは特に興味深い。パウロはヘブル人たちに対比によってキリスト教の真理を見せようとしている。過去をないがしろにするのではなく、花が根から出て成長するように、キリスト教はユダヤ教から出て成長したことを示している。

 この根の儀式の中に隠されていたのは、後に生じるべき恵みの花の色彩、芳香、麗しさであった。この花はこの根よりも優っていたのではないだろうか?その終わりはその始まりよりも優っていたのではないだろうか?キリストの血はユダヤ教の祭壇で屠られた小羊の血よりも優っていたのではないだろうか?イエスは、ユダヤ人の父祖たちをその民族史の記念日に折りに触れて訪問した天使たちよりも優っていたのではないだろうか?神の御子の声は預言者たちの声よりも優っていたのではないだろうか?

 当時、これがこの書簡の心臓の鼓動だった。パウロが信仰の章を書いた時、この手紙の目的、この書簡の動機から離れる理由が何かあったのだろうか?私はあったとは思わない。その主題はさらに優っており、その目的はイエスの信仰の麗しさを、族長たちや預言者たちの働きや言葉――これらのものが彼らに対して信仰と見なされたのである――との対比で示すことである。それが当時の信仰だった。パウロがこの信仰の章を、「神は私たちのためにさらに優ったものを備えておられました。それは、彼らが私たち抜きで完成されることがないためです」という言葉で締めくくっていることを思い出してほしい。言い換えると、昔の人の行いや証しは、クリスチャンのユダヤ人たちが見て称賛するために、画廊の絵のように掲げられていたのである。そこにはアベルとエノクの物語があった。ノア、アブラハム、サラ、イサク、ヤコブが、神の御言葉に対する従順さを描いた絵の中に収められていた。それからモーセとヨシュアが登場して、イエスが馬小屋に誕生される前の昔の著名人たちの大行進が続く。しかし、今やイエスが誕生された――昔の信仰は命令に対する従順な言動によって現された。しかし、それ以上のものがある。言動は、新約聖書が信仰の何たるかについてわれわれに教えていることの一部分にすぎず、僅かな部分にすぎない。もちろん、働きはあるだろうし、証しもあるだろう。しかし、それだけが信仰ではない。決して新約の信仰ではないのである!

 これに関して、興味深いのは次の点である。ヘブル人への手紙の十一章で紹介されている男女の生活の旧約聖書の記録に戻ると、彼らの生活に関して信仰という言葉は全く述べられていないのである。信仰という言葉は旧約聖書では二回しか現れない。そのうちの一つは預言的な出来事の一つに現れ、もう一つは邪悪な世代の不信仰に関して消極的な方法で用いられている。その二つの節とは申命記三十二・二十とハバクク書二・四である。

 だから、次のような明白な結論を下さなければならない。パウロがこの傑出した族長たちの生活を掲げているのは、従うべき模範としてではなく、イエスのうちに見いだすべき何かさらに素晴らしいものに関する神の御旨の卓越した出発点としてなのである。彼らが持つべき信仰は、彼らの祖父たち全員が持っていた以上のものだったのである。証人たちのこのように大きな雲に取り囲まれているのを見て、彼らもまた重荷や罪を捨てて、自分たちの前にあるこの新しい競争を忍耐をもって走るべきだったのである。彼らは何をなすべきだったのか?自分たちの信仰の創始者であり完成者であるイエスを見上げるべきだったのである。

 イエスが彼らの信仰やパウロの信仰の創始者であり完成者である以上、彼は私の信仰の創始者であり完成者でもある。言い換えると、すべての真の信仰は、その始まりも完成もイエスによる。御言葉が述べているのは、イエスは御自分の信仰についてだけ、その創始者であり完成者である、ということではなく、私やあなたの信仰の創始者であり完成者である、ということである。


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