キリストの勝利

 まず第一に、この勝利はキリストにある勝利であり、キリストに属する勝利です。この手紙でパウロはこの偉大な贖いの行程の比類ない啓示を与えています――この素晴らしい過程を主イエスは贖いの御業のために歩まれました。第一に、彼は神と等しい地位にありました。神と等しくあり、それが意味するところのものをすべて持っておられました――神の神たる所以であるものをすべて持っておられたのです。これは何と偉大でしょう!――何と豊かで、高く、荘厳で、栄光でしょう!イエスは天で神と等しくあられた、とパウロはここで述べています。次に、「彼は神と等しくあることを固執すべきもの、握りしめるべきものとは勘定せず、ご自分を空しくされました」。彼はご自分を空しくして、それをすべて去らせ、脇にやり、放棄されました。その代わりに彼が得たものは何だったのか考えてみて下さい。とても理解しえない事柄がいくつもあります。無限に豊かな力と威光と大能を持っておられる神が、栄光と永遠の豊かさをもって支配される主権者たる神が、ご自分の被造物である人々、とりわけ最も卑しい人々に、ご自分に対して唾を吐きかけ、嘲り、愚弄することをお許しになったのです。彼は神と等しくあることを脇にやられました。そして、ご自分を空しくして人の姿を取り、人としての有様で見いだされました。それだけでなく、この行程でさらに低くなられました――奴隷、人の奴隷の姿を取られたのです。奴隷に自分の権利はありません。何の特権も肩書きもありません。自分のために選択することや、自分の道を行くこと等は許されません。イエスは奴隷の姿を取られた、とここでパウロは述べています。

 次に使徒は続けて言います、「彼はご自分を低くして、死に至るまで従順になられました」。しかも、この死は輝かしい死ではなく、人々が褒めそやして感嘆しながら語るような死ではありませんでした。「実に」と使徒は言います。「十字架の死に至るまで従順になられたのです」――十字架の死は最も恥ずべき不名誉な死であり、その意味するところは恥と不名誉に満ちています。当時のユダヤ人の世界、宗教界では、「木にかけられる者は神に呪われた者である」と聖書に記されていました。神に呪われた者の地位にあると見なされるほど、イエスは従順になられたのです。神に呪われた者――ユダヤ人たちはイエスをこう見なしました。他方、ユダヤ人以外の世界、異邦人の世界では、「崇拝を受くべき者は、決して敗北することがありえない者、恥を被るような状況に陥ることが決してありえない者、世の前に成功者として立ちうる者である」という考え――これが神についての異邦人の考えでした――が蔓延していました。しかし、ここではこの人は十字架上にあります。この方は成功者でしょうか?成功者らしき徴はありません。人の強さを示すものは何もありません。これは弱さです。これには何の誉れもありません――不面目です。これは最も低い人です。

 次に、この行程は逆転します。ここで使徒が割って入って言います、「それゆえ、神もまた彼を高く上げて、あらゆる名にまさる名を彼をお与えになりました。それはイエスの御名によってすべての膝が屈むためです」――遅かれ早かれそうなります。彼を主と認めて喜んでそうする者もいれば、強いられてそうする人もいるでしょう。遅かれ早かれ、全能なる神の確固たるご計画により、そうなるでしょう。何という行程でしょう!何という行程でしょう!何という勝利でしょう!これより完全で偉大な勝利を見いだすことはありえません。パウロはこれを福音と呼んでいます。これはキリストの途方もない勝利という良い知らせです。キリストはこの領域で勝利されました。そして、この勝利の中に含まれるものはみな福音です。なぜキリストはそうなさったのか、それによって何を遂行されたのか、それで何を確保されたのかについて、しばしとどまって考えることはできません。天と地の全領域で、最高の高みから最低のどん底に至るまで、彼は勝利されました。パウロはこれを黙想して言い尽くせない喜びを覚えます。キリストにある勝利――これこそ使徒が良いおとずれ、福音と呼んでいるものです。


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