(b)宗教的伝統の問題について

 次に、主はこの問題を別の領域に適用されました。この「希望」という言葉と対比的なこの背景、この暗い背景を理解して下さるよう希望します。神の御霊は使徒を通してこの問題を、ユダヤ人を例にとって、宗教的伝統の領域に適用されました。ユダヤ人の受け継いだものはみな、アブラハムとモーセに由来します。アブラハムとその信仰について、使徒には言うべきことが何とたくさんあったことでしょう――「アブラハムは信じました」――それから、モーセについて、また与えられた律法について、何とたくさん言うべきことがあったことでしょう。ここには注目すべき途方もない意義や重要性があります。なぜなら、神はユダヤ人の国を主権をもって選ばれましたが、その目的である特別な役割をここに見ることができるからです。このようなことをあなたはかつて考えたことがあったでしょうか?ユダヤ人の国、彼らの過去、現在、未来について言えることはたくさんありますが、ここで明確にされているのは、神の主権によって定められた彼らの役割です。証しに関する限り、すなわち、ユダヤ人の歴史が証しするところに関する限り、昔も今も、これがユダヤ人の役割です。それはたった一つのことを示すことです。たとえ偉大な父祖(a grand father)がいたとしても――私は祖父(a grandfather)のことを言っているのではありません!――また最高の宗教的伝統があったとしても、そうしたものをあなたが性格的に受け継ぐことは決してありません。すなわち、そうしたものをあなたが性質的に受け継ぐことはないのです。

 アブラハムは何という父祖だったことでしょう!「我らの父祖アブラハム」には何と多くの意味があることでしょう!アブラハムは信仰と従順の何と素晴らしい例でしょう!ユダヤ人はみなアブラハムの子孫でした。一国民として、ユダヤ人はアブラハムから出ました。その道徳的、倫理的、宗教的水準について見ると、ユダヤ人の宗教組織は何という組織だったことでしょう。これをこれ以上良くしたこの世の宗教はありません。モーセを通して与えられたユダヤ宗教の宗教的戒律は何と壮大な体系だったことでしょう!――律法には十戒だけでなく他のあらゆる教えもあって、人間生活のあらゆる面を網羅していたのです。ユダヤ人はそれによって育てられました。それにもかかわらず、ユダヤ人から何がわかるでしょう?ユダヤ人の中にアブラハムの信仰は見あたりません。また、彼らの中に、彼らの性質の中に、この偉大な体系の反映も見あたりません。この民はアブラハムのような父祖を持ち、モーセ体系の託宣をすべて受け継いでいたにもかかわらず、アブラハムやモーセに見られるものは彼らの性質の中にまったく欠けていたのです。この民は依然としてどんな特徴を帯びているでしょう?アブラハムにもかかわらず不信仰という特徴を帯びており、モーセにもかかわらず不従順という特徴を帯びているのです!これ以上絶望的なことがあり得るでしょうか?

 「良い父親と良い母親に恵まれるなら、大いに安泰です」と考える人もいます。しかし、人の性質はこのような考えを裏付けません。敬虔な父祖に恵まれることには長所もいくつかあるかもしれません――なにがしかの長所があるかもしれません。しかしそれは、「自分自身が信仰を持つ際、困難、戦い、苦難をすべて免れることができる」ということを、最終的に保証するものではありません。実のところ、両親は神に献げきっていて、たいそう敬虔で信心深かったとしても、子供たちは最悪の背教者かもしれないのです。これは奇妙なことではないでしょうか?信仰と従順という気質は血の中にあるのではありません。最上の部類の宗教的伝統といえども、私たちの性質を変えることはありません。宗教的伝統は何世代も遡るものかもしれませんが――私たちの性質を変えることはありません。たとえ両親がどんなに良かったとしても、私たちの性質は依然として不信仰であり不従順です。あなたは愛する子供のために最初から、その子がごく小さな赤ん坊の時から祈ってきたかもしれません。その子の前で神のために生きようとしてきたかもしれません。しかし、それにもかかわらず、その子の内には自己意志、不従順、他のあらゆるものがあるのです。


オリーブ園クリスチャン古典ライブラリー 本館
オリーブ園クリスチャン古典ライブラリー 本館へ

コメント
トラックバック
トラックバックURL
コメントフォーム
管理者にだけ表示を許可する
プロフィール
カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
全記事表示リンク
検索フォーム
個人のブログに関するリンク集
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

電子書籍
Glorious Secret
ジェシー・ペン-ルイス
「栄光の奥義」


The Cross of Christ
アンドリュー・マーレー
「キリストの十字架」


ランキングサイト
にほんブログ村 哲学・思想ブログ キリスト教へ にほんブログ村 哲学・思想ブログ 聖書・聖句へ

人気ブログランキングへ ブログランキング

ブログのまどランキングへ ブログ王へ

ブログランキング【くつろぐ】

QRコード
QR
カウンター

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ